一般貨物自動車運送事業の運行管理者の選任について
このページでは、一般貨物自動車運送事業において必要とされる運行管理者について解説しています。
運行管理者は事業用自動車の安全を確保するための業務を行う責任者であり、運送業においては欠かすことのできない存在です。
誰でも運行管理者になれるというわけではなく、一定の資格が必要で、各営業所ごとに車両の台数に応じた人数が必要になります。
運行管理者の必要人数
運行管理者は各営業所ごとに必ず置かなければなりません。 必要人数は、次のとおり、車両台数30台ごとに一人必要とされています。車両台数 | 運行管理者必要人数 |
---|---|
1~29台 | 1人 |
30~59台 | 2人 |
60~89台 | 3人 |
以降、30台増加ごとに | +1人 |
運行管理者の主な業務
運行管理者の主な業務は次のとおりです。
具体的には次のような業務です。
- 乗務員が休憩または睡眠のために利用することのできる施設を適切に管理すること
- 勤務時間及び乗務時間の範囲において乗務割を作成し、これに従い運転者を乗務させること
- 酒気を帯びた乗務員を事業用自動車に乗務させないこと
- 乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をできない恐れのある乗務員を事業用自動車に乗務させないこと
- 運転者が長距離運転又は夜間の運転に従事する場合、交替するための運転者を配置すること
乗務前には必ず点呼を実施する必要があります。
原則、対面で行い、運行上やむを得ない場合は電話等その他の方法を取ることもできます。
具体的な業務は次のとおりです。
- 運転者に対して点呼を行うこと
- 酒気帯びの有無、疲労睡眠不足等により安全な運転をすることができない恐れの有無等の報告を求め、確認すること
- 点呼の記録、保存を行うこと
- アルコール検知器を常時有効に保持すること
指導監督の具体的な内容は次のとおりです。
- 過積載による運送の防止について、従業員に対する指導・監督を行うこと
- 貨物の積載方法について、従業員に対する指導・監督を行うこと
- 法令により通行禁止または制限等違反の防止について、運転者に対する指導・監督を行うこと
運転者に対し、次のことを記録させ、その記録を保存すること。
- 乗務員氏名
- 自動車の登録番号
- 乗務の開始、終了の地点、日時、主な経過地点、乗務した距離
- 運転を交替した地点と日時
- 休憩、睡眠した地点と日時 等
次のような事項を記載した運行指示書を作成し、運転者に指示を行うこと。
- 運行開始の、終了の地点、日時
- 乗務員氏名
- 運行経路と主な経過地における発車、到着の日時
- 運行に関して注意を要する箇所の位置
- 休憩地、休憩時間
- 業務の交代地点
- その他運航の安全を確保するために必要な事項
運行管理者になるためには
運行管理者になるためには一定の資格又は経験が必要です。
次のような二通りの方法があります。
- 運行管理試験に合格する
- 運行管理に関する5年以上の実務経験及び5回以上の定められた講習を受講する
運行管理試験には受験資格が定められており、全くの未経験者は受験できません。次のいずれかの受験資格が必要です。
- 運行管理に関し、1年以上の実務経験を有するもの
- 自動車事故対策機構が行う基礎講習を受講したもの
試験は運行管理者センター主催で、年2回行われています。
試験を受けない場合は、最低5年間の実務経験が必要になります。
自動車事故対策機構が行う基礎講習1回と一般講習4回、合計5回の講習を1年ごとに受講すなければなりません。
2回以上受講しても、1年に1回しかカウントされません。
運行管理補助者について
運行管理補助者は法律で義務付けられているわけではありません。
しかし、人材育成という観点、また、実務においても管理者1人では業務に支障が出ることもあり得るため、補助者は人選しておいた方がいいでしょう。
数人の補助者を指定しておいて、5年間実務を経験させ、講習を受けさせることで、運行管理者としての資格を有することになります。
継続的な事業の運営のためにも考慮しておきましょう。