貨物軽自動車運送事業の審査基準について
このページでは、軽自動車を利用した運送業、貨物軽自動車運送事業を始めようとするときの届出における審査基準について解説しています。
貨物軽自動車運送事業を始めようとする場合には、届出という手続きを行うます。
一般貨物自動車運送事業の許可とは異なり、この届出という手続きは、提出書類を受領してもらった時点で完了であり、その後の審査等はありません。
うまくいけば、届け出た次の日から営業ができます。
必要なことは、届出書、添付書類に正しく記載されていることです。
審査基準というものはありませんが、貨物軽自動車運送事業を開始するために必要な要件を満たしていることを届出書に明記することになります。
書類にあきらかな間違いや、記入漏れがなければ受け取ってもらえます。
だからと言って、いい加減なことを記入するわけにはいきません。
逆に言えば、チェック機能が緩いからこそ、自らを律して、自身で厳しくチェックしなければなりません。
届出の手続きは容易なものであっても、事業を営むことは容易なことではありません。
それでは、貨物軽自動車運送事業を始めるために必要な要件を詳しく見ていきましょう。
車両台数
貨物軽自動車運送事業には、事業用自動車の台数の制限はありません。
とはいっても、0台では、運送業を行うことはできませんので、
1台以上
は必要ということになります。軽自動車の構造
軽自動車で貨物者の4ナンバーでなければなりません。
貨物運送ですので、乗車定数は原則として2名以下で、後部座席は設置されないことになります。
通常市販されている軽バンであれば要件を満たすものと思われます。
お持ちの軽自動車が乗用車5ナンバーで、この自動車を使用したいという場合は、構造変更をして、4ナンバーとして車検を通さなければなりません。
構造変更は基本的に、後部座席を取り外し、貨物用のスペースを確保することです。
サイズの要件としては、次のすべてを満たさなければなりません。
- 荷物を積み込む部分の面積が0.6平方メートル以上
- バックドアを開いた時の開口部の面積が60センチメートル×30センチメートル以上
ほとんどの軽自動車で条件をクリアできると思います。
車庫
自動車の保管場所、車庫は必須です。
一般貨物自動車運送事業の場合は、自動車の前後左右に50センチメートル以上の余裕がなくてはなりませんが、貨物軽自動車運送事業の車庫にはそのような規定はありません。
軽自動車を収容できればよいということです。
月ぎめ駐車場でも問題ありません。
賃貸しているのであれば賃貸借契約書で使用権原があることは証明できます。
とはいっても、貨物軽自動車運送事業の届出の場合は、提出の必要はありません。
また、車庫は営業所から2キロメートル以内でなければなりません。
もともと使用していた自動車を利用する場合は、車庫も近いと思われますが、新たに自動車を手配する場合は気を付けなければなりません。
また、ほかの用途に使用される部分地明確に区分されることも必要とされます。
また、新たに車庫を作る場合には、都市計画法、建築基準法、農地法等に抵触しないよう気を付けなければなりません。
休憩・睡眠施設
乗務員が有効に急速・休憩に利用することができる適切な施設でなければなりません。
一般貨物自動車運送事業の場合と異なり、
面積要件や施設要件はありませ
ん。都市計画法、建築基準法、農地法等に抵触しないこと、使用権限を有することが必要です。
個人の場合は、自宅で問題ありません。
運送約款
運送約款は、荷主の正当な利益を害する恐れのないものでなければなりませんが、通常は標準約款を使用することになるでしょう。
とくに個人で事業を始める場合は、標準約款しかありえません。ご自身で運送約款を作成することは、容易なことではありません。
しかし、ながら、その内容は十分理解しておく必要があります。
必ず一度といわず何度でも目を通しておきましょう。
国土交通省告示標準約款(兵背三十一年) ⇒ 標準貨物軽自動車運送約款運行管理体制
事業の適切な運営を確保するために運行管理等の管理体制を整えることが要求されていますが、運行管理者の資格は必要なく、管理体制を証明又は疎明する書類の提出も義務付けられていません。
個人の場合は、事業主本人が、運転者であり、運行管理者であることになります。
損害賠償能力
損害賠償能力に関しては、十分な損害賠償能力を有することが必要とされていますが、具体的な金額の規定はなく、届出時になんら証明書を添付することもありません。
軽自動車による貨物が一般的に少額の物が多いということで、厳しい基準が必要ないと考えられているものと思われます。